糠漬けバンザイ【第6話】

糠漬けの連載は、今日が最終話となります。

最後にお伝えせねばならないことは、
緊急時の処置です。

美味しい糠漬けが楽しめるようになれば、
あとは、問題が発生した際の対処さえ知れば、
怖いモノはありません。

大きく分けて3つありますが、
最初の問題は、長期間家を留守にするときです。

冷蔵庫管理とはいえ、
2~3日に一度は糠床を掻き混ぜる必要がありますが、
家族で旅行をすることもあるでしょう。

そんなときは、
漬け込んである野菜は、すべて取り出して下さい。

糠床の味を良くするために入れてあるもの、
例えば、昆布や椎茸も、出した方が無難です。

ですから、留守にする前には、
計画的に糠漬けを消費するコトをお勧めします。

漬け込んでいた野菜を取り出して、
糠床を掻き混ぜたら、
糠の表面をしっかり均します。

いつもより、ギュッと押し均して下さい。
4~5日の外出なら、これで大丈夫です。

帰宅後は、初日は糠床を良く掻き混ぜるだけにして、
2日目から漬け込んで下さい。

それ以上長期の外出をする場合は、
糠の表面に塩をたっぷり撒きます。

外出から帰ったら、表面の塩と糠を綺麗に除去し、
良く掻き混ぜて、その日は漬け込まず、
翌日から野菜を漬けましょう。

ただし、長期間手入れを怠ると、
糠床も機嫌をそこねて、
良い味を出さないことがありますが、

いつもの管理を続けているうちに、
また、魔法のように元に戻ります。

糠床に生命力を感じる一瞬です。

2点目の問題は、冷蔵庫管理では起き難いのですが、
表面に白い膜ができたときの対処です。

これはカビではなく、酵母の大量発生です。

正確には産膜酵母といい、
連載2日目にお話しした酸素を好む酵母です。

表面の白くなった糠床を見て、
あなたは嘆くかもしれませんが、
この酵母は人間には無害です。

少々の産膜酵母であれば、
糠床と一緒に掻き混ぜて構いません。

運悪く、真っ白になってしまった場合でも、

慌てずに糠の表面の産膜酵母を削ぎ落としてから、
その下の糠を混ぜ込めば、
これまで通り使用できます。

腐ったと勘違いして、
捨てたりしないで下さいね。

最後は、糠が変な匂いになった場合ですが、
これも、手入れを怠ったときになる問題です。

冷蔵庫保管の場合、
2~3日に一度、忘れずに手入れし、
糠床を良く掻き混ぜていれば、この問題は起きません。

きちんと一定間隔で糠床を掻き混ぜていても、
混ぜ込みが不十分だと、この問題が起こります。

これも、2日目にお話ししたことですが、
これらの匂いの問題は、
乳酸菌より酵母が増えてしまった場合に起こります。

酵母は大きく分けて酸素の好きなモノと、
酸素の嫌いなモノが存在しますので、

掻き混ぜず、糠が動かなかったり、
掻き混ぜていても、表面と底の糠が入れ替わらなければ、
それらの酵母が増えてしまうのです。

匂いが変になったら、
新鮮な米糠を多めに用意して適量の塩を加え、
元々あった糠床の発酵力を借りて、再熟成させます。

ついてしまった匂いは、すぐには消えませんが、
こうするコトで、イヤな匂いは薄まり、

諦めず手入れを続けることで、
例によって魔法のように、美味しい糠床に戻ります。

ちなみに、再熟成の際は、
冷蔵庫に入れず、
タオルを巻いて冷暗所に保管して下さい。

冷蔵庫管理に戻す手順については、
4日目の連載を参考にして下さい。

もう、旬は終りましたが、
沖縄では島ニンジンという野菜があり、

ニンジンともゴボウとも言えない、
独特な根菜ですが、
この糠漬けは、最高に美味しいです。

ゴーヤの糠漬けも、
本来の苦味が乳酸菌の力で面白い形で膨らみ、
新たな味を発見できます。

安全で安心な糠漬けを、
心ゆくまでお楽しみ下さい。